FM三重『ウィークエンドカフェ』2021年10月2日放送

鳥羽市石鏡町。漁業が中心のこの町にはおよそ40人の海女さんがいます。
そこで、フォトグラファーであり海女として活躍しているのが、大野愛子さんです。
地域おこし協力隊として鳥羽に赴任3年間の任務を終え、ここでの暮らしは6年になります。

初は寒い海に入ることが大変だった。今は冬の海が好き

毎日仕事でどんな時も潜るとなると、身体が最初は付いてこなくて。
地域おこし協力隊員として来て、まず冬の海からスタートしたので、なんでこんな寒い海に入らないといけないの、と思いました。
結構、お腹も壊したり、寒くて潜っていけなくて、イヤだなと。
最初は全然獲れないので面白みも感じられず…好きでも仕事となると向いていないかもと思いましたが、焦らず、協力隊の期間は3年なので、その間はキッチリやろうとの思いだけがあり。
まあ、ボチボチボチボチやっていこうかな、と。
でもだんだん捕れるようになってくると楽しいですし、あまり寒さも感じなくなってきました。
今ならどちらかというと、冬の海のほうが綺麗なので好きになりました。
全海女さんの憧れの、特別感のあるアワビですね。
捕るのも本当に難しくて、上から見ていてもまったくわかりませんし、ほぼ隠れています。
けっこう頭を使って、ずっと隠れんぼの鬼をやっている感もありますし、ワクワク感もあります。
大きな物が獲れたらとっても嬉しいので、かなりハマっています。

 

ワビを採るのはとても難しい。手の感覚で探す

サザエは見えますが、アワビは本当にいろいろな人に、どういうところにいるとか話を聞いて。
聞いて想像して、実際に海に入って見つけると、「こういうことを言っていたんだな」と照らし合わせで覚えていったというか。
まだ難しいですよ、アワビは。
上手な方は、見ないで手で触って探るんですよ、岩の中とか。
そうするとアワビの貝殻の突起の部分を、手で確認して捕るみたいで…私は全然わからないです、いまだに。
見つけるだけでなく貝を傷つけないよう綺麗に取らないと売り物にならないので、そこの難しさもあります。
奥が深くて、驚きの連続です。
私は写真も水中で撮ったりするので、海女さんに付いて海底で待っていたときに、こういう動きをしているんだと初めて知りました。
ほぼ逆立ち状態でとか。
手の動きとかも素早くて、それでちょっと勉強になりました。
海女さんに関しては、ほぼ毎日すごいなと感心します。
かなわないです。
石鏡だと上手な人のことを『おかづき』と言うんですが、そう言ってもらえるのが憧れです。
「あの子は良いおかづきだ」とか。
良い言葉だと思います。

 

女さんのかっこいい姿を撮っている

ここに来るまで、東京で写真の仕事を10年近くしていました。
鳥羽での協力隊の仕事の一つにPR活動もあったので、そういうときに活かすことができたり。
また海女の世界にいるので、リアルなものをお伝えしたいのと、あとは記録というか現状をキッチリ押さえていくのも大切だと思っています。
無理のない範囲で、今もボチボチ撮っています。
海女さんの呼吸に合わせて、あんまり視界に入らないよう邪魔にならないように、海底でそっと近づくとか。
海女さんはカメラ向けられるの嫌いだぞ、と言われていたのですが、意外と撮ってくれ撮ってくれと言われたり、写真をあげると喜んでくれるので、それはとても嬉しいです。
本当はいろいろな海女さんを撮りたいのですが、潜る場所が違うので、全然実行できていないのですが、潜っている姿はとても格好良いので、お孫さんとかに見てもらえたらいいんじゃないかな。

 

泉振興会のHPで旅館やホテルの料理長の海藻レシピを取材

鳥羽は海の幸が豊富です。
今、海藻のおいしさを広く伝えることもしています。
鳥羽の海藻をPRするのがメインです。
温泉組合に加入しているホテルや旅館に、月に1回取材に行き、そこで海藻料理を作ってもらって、私が写真を撮ってレポートして、あと温泉にも入ってレポートして、発信するという仕事をしています。
私はよそ者なので、鳥羽の海藻の凄さにとても驚きました。
でも、地元の人には当たり前すぎて、その価値に気づいていないということで、この企画をはじめました。
日本どころか世界中に海藻の素晴らしさが広がるといいなと、今、一生懸命楽しんでやっています。
メカブは都会でも食べられますが、こちらでは自分が採った特別感がありますし、粘り気が経験したことないくらいすごいです。
生の状態から、お湯をかけるとフワッと緑になるんです。
その瞬間がとても好きで、春が来たのを感じるので、毎年ワクワクします。
旅館やホテルのシェフとなると、ちょっとした一手間で別物…高級な料理に変身するんですよ。
レシピを教わるので、私は1度必ず、作ってみます。
とても勉強になりますね。

ほとんどが良い日ではありません、海って。
息を止めて潜っていると、苦しいな苦しいなとなりますが、それ以上の楽しみや喜びがあります。